LNG50年の軌跡とその未来 日経BP  今井伸 他/著 メモ

ジェポンズのパラドックスを現在に当てはめると

技術革新によって利用効率が上昇すると個々の主体にとって

単位エネルギーコストが下がり、総エネルギー需要が喚起されるとして説明がつく。

エネルギー総需要は技術革新とエネルギーの総量規制がセットになって初めて

減少につながるのである。

 

LNGは電源としては3番目の存在だった。

ベースロード電源

 原子力、石炭火力

ピークロード電源

 石油火力

ミドルロード電源

 LNG火力 

原子力と石炭火力は燃料費など可変費よりも設備費など

固定費の方が相対的に大きい。

LNG火力は設備費など固定費よりも燃料費など可変費の割合が相対的

に石炭火力や原子力よりも大きい

需要変化に対して機動的に発電量を調整できる。

再生可能エネルギーのコスト比較

 

S字カーブと命名された特定分野の技術革新速度

天然ガスはメタン、炭化水素の混合物

天然ガスが生成される地層をガス胚胎層と呼ぶ。

天然ガスは分子が小さく粘性が低いためガス田からの採掘効率はよく単位採掘コストが低い。

 

シェール資源というのは地下3000メートル以下の頁岩層(シェール層)において

残存している資源のこと。

 

水圧破砕技術等の採掘技術の革新によって低コストの生産が可能になった

 

天然ガスの弱点は気体であるために

体積当たりの熱量・エネルギー量が石油・石炭に比べて

非常に低く専用のパイプラインが整備されていない限り輸送・貯蔵の効率が悪い。

 

天然ガスを液化し体積を600/1に収縮して専用タンカーで輸送する方法

マイナス162度以下に冷却すると大気圧下で液化する。

 

パイプラインとLNGを採算面で比較するとパイプラインが有利で

さらに長距離になるとLNGが有利になり境目が概ね3000kmとされる。

 

液化プラントの建設は1兆円以上かかる

液化プラントに天然ガスを供給する新規ガス田の開発も同時に

行う必要がある。

新規ガス田は海岸から離れた深海に位置することが多く、海底パイプラインを建設する

建設コストは1案件最低数兆円となるのが普通だ。

 

技術革新も冷却効率の向上、冷却プラントの建設コストダウンが主体となる。

数系列年産500万ー700万トン以上へのプラントの大型化

冷却温度に応じた多段階カスケード冷却方式から混合冷媒を用いたプロパン予冷付き

の一段階冷却方式

僻地での冷却プラント建設コストの大幅削減を図ったモジュール化などがある。

FLNG(浮体型液化・出荷プラント)

海底ガス田の天然ガスを海底パイプラインを敷設して陸上まで輸送し

海岸の大型液化プラントで液化出荷するという従来の方式

海底ガス田の直上にFLNGを浮かばせその上で液化と出荷を行う

FLNGはFSRUとも呼ばれている。

プラントは高ニッケル鋼板やステンレス鋼材とメンブレン構造という熱収縮

金属疲労に強い素材と構造を採用しタンクを地下設置したりタンク周りに堤防を

設け安全策を講じる。

LNG需要は3/4はアジア 日本は8200万トン 中国で5400万トン 4400万トン

天然ガスの最大の需要は発電

ロイヤルダッチシェルエクソンモービル、bp、シェブロン、トタールといった

メジャーの流れをくむ巨大企業の存在感が大きかった。

LNG受入基地の建設、道管網をはじめとした供給設備の整備が必要

 

LNG船に冷熱を維持する防熱構造とメンブレンを取り付け

船体で重量と圧力を受け止めるのがメンブレン方式

 

独立した球型タンクを搭載するのがモス方式

川崎重工三菱重工IHI

日本の買い主が船を用意するFOB契約がインドネシアで2件結ばれた。

 

天然ガス火力発電の発電効率を飛躍的に向上させた天然ガスを燃料にした

ガスタービン・コンバインド・サイクル発電(GTCC)

燃料ガスを燃焼させ得られた高温高圧のガスでガスタービンを回転させ発電機を

駆動する それによって温度が下がったガスで蒸気を作り蒸気タービンを

回転させ発電機を駆動する

タービンなど主要部分は三菱日立パワーシステムズ製(三菱重工業製)

燃焼器ではNox発生をいかに抑えるかがポイントになる

翼の表面にセラミックコーティングを施した1枚1枚の翼を空冷

する方法を考えた。

船舶に供給する方法としては、LNGタンクローリーから供給

LNG燃料船に、LNG基地から供給

LNGバンカリング船が接舷して供給

の3方式

水素とCO2から天然ガスの主成分であるメタンガスを作り出す方法(メタネーション)

日本政府は水素・燃料電池戦略ロードマップを策定した

フェーズ1は水素利用の飛躍的拡大

フェーズ2は水素発電の本格導入

大規模な水素供給システムの確立

エネファーム530万台

FCV80万台

電源構成に占める水素の比率は2%程度

一次エネルギー構成に占める水素の比率は1%程度にとどまると言われる

大規模な水素供給システムの確立と結びつくような水素の大規模利活用策は存在するか

水素とCO2から都市ガスの主成分であるメタンガスを作り出すメタネーション

 

フェーズ3ではCO2フリー水素供給システムの確立